丸い大空の色を



毎年8月15日は過去の歴史を振り返って祈りを捧げ、甲子園を見て盛り上がり、ああもうすぐお盆休みも終わってしまうね、なんて思いはじめる夏の一日である。日本のいたるところでそんなことが行われているこの日に産声を上げたひとりの男の子。今年の8月15日はわたしがアイドルになったその男の子を「担当」するようになってから初めて迎える8月15日だ。

16歳。ほんとにほんとに色んなことがあった。わたしには見えていないところでもっともっと色んなことがあっただろう。15歳から16歳にかけて立った舞台ではとんでもなく重要な役を演じて、毎日毎日演技を更新していく様子はやはりこの目で見たかったと今でも思う。
秋にはなにわ男子が結成された。発表後はそれはそれはもう大荒れで。賛否両論、いや圧倒的に「否」の意見が多かったしその矛先が長尾くんに向くこともあったけど、長尾くんはそんな意見を自分が舞台に立つ姿でひっくり返した。いまやなにわの最終兵器だもん。見るたびにダンスや表情の出し方が上手くなるのを感じた。なにわ男子ができてテレビの露出も増えて、地上波で上手い返しをしている長尾くんを見て驚いた。

16歳は初めての経験の連続だったと思う。初めてのユニット、初めての東京ドーム、初めての地上波ドラマ出演、初めてのカメラ密着、初めてのグリーン車、初めてのさいたまスーパーアリーナ、初めての単独テレビ出演……
どの「初めて」もとても楽しそうで、しかもしっかりこなしていてそのあと本人の口から「緊張した」と聞くたびにほんとうに?と思ってしまうくらいだった。そんな姿を見るたびに長尾くんの地の強さを感じる。俺スカで共演した古田新太さんから「長尾はハートが強い」と言われて納得した。だけれどその一方で恭平くんから「一番泣き虫なのは謙杜。責任感じちゃうみたいで」なんてタレコミがあってもう長尾くんがわからない。わからないからもっともっと長尾くんの姿を見続けたいと思う。そう思わせる力があって末恐ろしいなとすら感じる。でもきっと彼は強いアイドルだ。迷って、悩んで、緊張して、責任や自分の不足を感じてそれをバネに気づいたら強く成長している。目を離した隙にひとまわりもふたまわりも大きくなっているから目を離している隙なんてなくてずっとずっと見ていたいと本気で思う。こんな気持ちになったのは長尾くんが初めてだ。

16歳はかけがえのない仲間を手に入れて、そして同時に失った歳でもあるだろう。仲間とは当然なにわ男子のメンバーだ。グループの仲間を手に入れてから長尾くんはすごく変わった。なんだかとても楽しそうなのだ。「猫をかぶってた」と称されるけど本当にその通りで、オタクから見ても長尾くんてこんなキャラだったの?と思うことも多々あり。だけどどこか遠慮がちで「長尾ってどんな子なん?」と言われていた長尾くんが今はいつも誰かの隣でちょっとわたしには理解できない行動をにこにこしながらしてるのがうれしい。他の子が先輩と触れ合う中で後ろで佇んでいた長尾くんがいま愛されているのがたまらなくうれしい。他のグループやデビュー組の先輩から長尾くんの話が出てくるなんて思わなかったもんね今まで。

長尾くんの武器はビジュアルはもちろんだけど、その圧倒的な伸びしろと、溢れ出る創造性だとわたしは思う。わたしは本気で長尾くんに不足してることなんてないと思っているけどきっと本人は自分の課題を見つけてそれを乗り越えられる力を持っている。ふわふわの笑顔と下がった目尻の裏にとんでもない野心が見え隠れするところがたまらなくすきだ。本当に激動の一年だったし、この流れはきっとこれからも続く。だけど長尾くんは長尾くんの中にひとつの揺るぎないものがあるんじゃないかなとわたしは彼を見て思う。日々成長して変わってゆくなんて言っておきながら矛盾しているとは思うけど。長尾くんには長尾くんだけの時間が流れるひとつの世界があって、その世界で流れる時間は変わらないけれど長尾くんが見たもの、聞いたものをその世界を構成するものに自分で変えているんじゃないだろうか。さっきも書いたけれど、長尾くんの成長のスピードは本当に速くて、いつのまにか変わっている。少しずつ、だけど毎日だから自然に変わっているように見えるが、その変化には必ず努力が必要だ。ジャニーズに努力していないアイドルなんていないとわたしは思うが、長尾くんは自然に努力ができるアイドルだと思う。大変、つらい、という姿を見せずにのほほんと笑って努力できる、ほんとうにかっこいいアイドルだ。
そして創造性。長尾くんの言葉のチョイスには毎度驚かされる。だじゃれとか掛け言葉とか洒落めいたものがすきで、上手いこと言うのが得意なのだ。この夏松竹ではついに念願の衣装プロデュース。長尾くんがデザインしたという新曲の衣装を見たときは度肝を抜かれたよ。しっかりみんなに似合ってるんだもん。長尾くんがどれだけ普段メンバーのことを見ているのかがわかったし、そのアウトプットができすぎていた。次はどんなものを見せてくれるんだろう。溢れる色とりどりのアイディアを見逃すことなんてできやしないなあ。演技も長尾くんの創造性が発揮される表現のひとつだ。長尾くんが一度飲み込んで自分のものとして外に放出するもの、それはダンス、表情、演技、絵、衣装、言葉、様々だがどれも楽しみでたまらない。長尾くんの中から零れ落ちたきらきらのものをひとつ残らず見たいと思う。

長尾謙杜くん、17歳のお誕生日おめでとう!ひとりの表現者として、ひとりのアイドルとして、そしてなにわ男子の一員として、あなたがだいすきです。